イ ン ド 報 告  

            2000年11月5日〜11月10日

インドに行きました。ミスワールドを何人も輩出するインド豪華絢爛な世界遺産の建造物が

数多くあるインド、世界一ブラックマネーがあると言われるインド。その光の影には生きるこ

とさえままならない人たちが、大勢いました。それが少しでも伝えることができれば・・・。

11月5日、出発 デリー空港でサガ神父と合流

11月6日マザーテレサの[神の愛の修道会・聖なる子どもの家」(小児麻痺で

     捨てられた子供の施設)訪問。

     ライ病で社会から阻害されている人をの治療・収容施設の訪問。

11月7日、HOLY FAMILY HOSPITAL(聖家族病院)訪問(医療の実態について)

     インド社会の実態と問題点についてのディスカッション

11月8日、列車にのりアグラへ。タージマハール・アグラ城の見学

11月9日、朝、スラム散策。市内観光、帰途。

 

 

世界の古代文明の1つ、5000年の歴史を持つインド。豪華絢爛な遺跡や宮殿、ミスワールドを数多く出す国。IT先進国のインド。歴史と文化の国インド。宗教と哲学の国インド。確かにそれも本当のインドではあるが・・・。

 

  インド人が私に教えてくれた言葉がある。

「インドには無い物はない。しかし私達が望んで手に入るものは何もない。」

全てがカーストの最上位バラモンの物だそうだ。

  (写真上)

世界遺産のタージマハール。全て白大理石で建築された壮観な建物。

(写真左)

デリー中心街にあるインド門

(写真右)

世界遺産・アグラ城

 

★インドと聞かれ貴方は何を思い浮かべますか? IT・コンピューター? マハラジャ? 無抵抗主義のガンジー? インドダンス? ミスワールド? 原子爆弾? 全て正解です。でもすべてがバラモンの物です。バラモンとは神に使える聖職者で、カースト最上位の人たちです。しかしその人たちが神の名を語り、人々を支配しているとしら・・・。

★私はカースト制度とはヒンドゥー教のものと思ってました。しかしそれは間違いなのを知りました。確かにインドは国民の7割以上がヒンドゥー教徒です。でもイスラム教徒も仏教徒もキリスト教徒もいます。彼らでさえインドに生れた以上はカーストに縛られるのです。そしてカーストに逆らう者は、神の名においてポアされて当然だそうです。ポアとはオウム真理教のものでなくインドに実在するしきたりでした。

★最下位のアチュート(不可触民)さらに先住民ダリットの女性は、年頃になるとレイプの対象だそうです。上位カーストの言葉によると「それは最下位であることを知らしめるための、人生の通過儀式」だそうだ。

★何故国際的に問題にならないのか? 人種差別や民族差別なら大問題に発展しているが、宗教的伝統・国内問題であるが故非常に問題になりにくいのである。これはインド人のことであるからと。そして最下位以外は上位に差別や搾取・迫害をされても、自分の下位に同じことができるのである。

★インド人のガイドが言った言葉は、「インド人でも病気になり薬を買う時に、本物か偽者かを10回疑う。インド人同士でも信じる事ができない。騙されるから、騙さなければ生きていけない」と。

  

 

私は子供の時に、カースト制度は4つの階級に分かれていると教えられた。しかし現実は大きく分けて6つ。(細かくは3000のランクに分かれる)。カーストの最下位の更に下にアチュート(不可触民)がおり、更にダリットと呼ばれ、迫害を受け続けている人がいる事を知った。

(神の 愛の修道会の小児麻痺の子供と)

Don’t walk in front of me.

I may not follow.

Don’t walk behind me.

I may not lead.

Just walk beside me.

And be my friend.

部屋の入り口に掲げられていた言葉

(写真中央)

愛の神の修道会の小児麻痺の子供。訪ねる人が少ないらしく、体を摩りながら話し掛けると、極上の笑顔をくれた。

 

(他の写真)

街のいたるところにあるスラム。その中に暮らす親子。

   インドでは女性の地位が低い。結婚するのに多額の持参金が必要である。更に持参金の増額を要求され、応えられなく抹殺される女性が少なくないと言う。その風習により、妊娠して女の子と判明すると中絶したり、生れてすぐ殺したりし、今インドでは女性の出生が急激に落ちている。もうすぐ21世紀なのに

 

 ★インドにも多くの日本人が行きます。人生観が変わりインドにはまるとも言います。確かにインドには  他の世界には無い素晴らしい物や素敵な物もたくさんあります。インドは両極端の国、平均が無いと言われる。インドの何処に行ったか?何を見て、何をしてきたか? それによりインドの印象も両極端になるはずである。単なる観光で行ったなら、アチュートやダリットのことは誰も言わない。21世紀を目前にした今、虫けら以下に生れ、死ぬまでそのポジションにいる人がいることを、そしてそれが社会システムであることを誰も言わない。 

★私は20数カ国を訪ね、多くの貧困地帯やスラムにも行った。どこも悲惨ではあったが、例えば戦争が終われば平和になる。努力をすれば抜け出す事もできる。貧困の中にも夢を持った子供は沢山いた。しかし、生まれながらにして身分が決まり、暴力と迫害にあい、自らの力では決して抜け出す事の出来ない人たちがいた・・。私はこのことを多くの人に伝える事しかできない。

★インド人は10億人ともそれ以上ともいわれている。すなわち地球の人口の1/6以上ははインド人である。世界一ブラックマネーを持っていると言われるインド。原爆を保有するインド。21世紀の地球は、インドが何を考え、何処に向かうか?それにかかっているのかも知れない・・・。

                                       ほしの